【業界研究】陶磁器製造業とは?日本の文化と暮らしを支える“モノづくり”の仕事

業界解説

◆ はじめに:「えっ、陶器ってまだ仕事になるの?」

「和食器なんてもう売れないんじゃ…?」
「100均や海外製が主流でしょ?」
そんな印象、ありませんか?

確かに、大量生産・安価製品の流れで、“土をこねて焼く仕事”は時代遅れに見えるかもしれません

でも実は、陶磁器製造業は今でも生きていて、しかも**“今だからこそ必要とされる価値”**があるんです。

この記事では、日本の伝統と生活を支える陶磁器製造業の実態と、就職先としての魅力を、初心者向けにわかりやすく解説します。


◆ 陶磁器製造業とは?

陶磁器とは、「土・石などを原料にして焼き固めた器や素材」のこと。
家庭で使う茶碗・湯呑み・お皿はもちろん、ホテルや料亭用の高級食器、さらには美術作品やタイルなども含まれます。

陶磁器製造業は、それらを素材づくりから成形・釉薬(ゆうやく)・焼成まで一貫してつくる仕事です。


◆ どんなものを作っているの?

✅ 一般家庭用の食器(茶碗・マグカップ・皿など)
✅ 飲食店・ホテル向けの業務用和洋食器
✅ 伝統工芸品(有田焼・美濃焼・瀬戸焼など)
✅ タイルや洗面ボウルなどの建築用陶磁器
✅ インテリア小物、海外輸出用製品、OEM製品など

👉 日常生活+文化+美術+インテリアという広い領域で活躍しています。


◆ 陶磁器製造業の仕事の流れ

工程内容
原料調整土や石粉を混ぜて、成形しやすい粘土をつくる
成形ロクロや型を使って器の形にする
乾燥・削り成形後の細かな調整・底削りなどを行う
釉薬掛け透明や色のあるガラス質をかけて焼成準備
焼成窯で1200度以上に加熱し、陶磁器に仕上げる
検品・出荷割れ・ヒビ・焼きムラのチェック後、梱包出荷

📌 自動成形機やデジタル釉薬噴射機を導入している企業もあり、手仕事と機械化のハイブリッドな現場が増えています。


◆ 働く人の声(23歳・陶磁器メーカー勤務・文系出身)

「文系で入社したんですが、最初は原料や窯の扱いもチンプンカンプン。でも先輩が“土と会話するように”教えてくれて。最初の自分の茶碗が出荷されたとき、めちゃくちゃ嬉しかったです。」


◆ 陶磁器製造業の今とこれから

✅ 安価量産から“価値ある器”へ

→ 海外製に勝てない「安さ」ではなく、職人技・デザイン・品質・地域性で勝負。
→ 小ロット多品種+EC販売など新しいスタイルへ移行中。

✅ 脱プラ・エコの時代にマッチ

→ プラスチック製カップや容器より、長く使えて環境負荷が少ない陶磁器に回帰する消費者が増えています。

✅ 若手にチャンスが広がっている

→ 高齢化により職人不足。20代で成形・焼成・商品企画まで関われる企業も多い。


◆ どんな人に向いている?

✅ モノづくり・工芸が好き
✅ 細かい作業に集中できる
✅ 派手さより、地道な作業をコツコツやれる
✅ 地元や日本文化への愛着がある
✅ “目に見える形”で残る仕事がしたい


◆ 陶磁器製造業の就活ポイント

観点チェックポイント
教育制度未経験でも成形や釉薬を教える研修があるか
商品ラインナップEC・輸出・カフェ向けなど多展開企業は柔軟
工房・工場の設備手作業中心 or 自動化併用かで働き方が変わる
地域性有田・瀬戸・多治見など伝統産地には地場企業が多い

◆ 今からできるアクション

  • 「陶磁器 製造 求人」「食器メーカー 中小企業」などで検索
  • 瀬戸焼・美濃焼・有田焼などの地域産業振興協会のサイトをチェック
  • 工房見学やインターンをして、実際の現場の空気を体感してみる

◆ まとめ:「文化財ではなく、今も動いている“現場”の仕事」

陶磁器製造業は、「昔の仕事」「一部の職人の世界」と思われがちです。
でも今、日常を支える器、サステナブル素材、手に職、地域ブランドとして再注目されています。

  • 安定した中小企業が多い
  • 若手が育ちやすい業界構造
  • モノづくりのやりがいがある

地味だけど、確かに必要な仕事。
興味があれば、まずは「器が生まれる場所」を見てみてください。

タイトルとURLをコピーしました